味とレシピの監修は、地元の食材を使った美食で、岩手の魅力を発信する料理人【 Ristorante SHIKAZAWA】代表 シェフ鹿澤 靖幸氏。
岩手県食のプロフェッショナルチームアドバイザーや三陸国際ガストロノミー会議実行委員など、岩手の魅力を発信する事業に積極的に参加する、岩手を代表するシェフの一人。鹿澤シェフの料理は、岩手県産の食材と郷土料理の要素を取り入れ、目で、そして舌で、岩手の季節の移ろいを、“ここでしか味わえない” へ昇華。岩手へ訪れたら、是非とも足を運んでいただきたい。


2015年にリニューアルしてから、専門誌掲載や県外の食イベントに参加するなど活躍を見せる鹿澤靖幸氏。
彼が描く「Ristorante SHIKAZAWA」は、岩手の豊かな食材をコースで楽しめるイタリアンをベースとしたイノベーティブレストランだ。その日仕入れた旬の食材に合わせてコースを構成し、前菜、米料理、魚料理、肉料理、デザートと9皿のフルコースが基本。
三陸の魚介類、地元ブランド肉、農家直送の野菜のほか、冬季は真鴨や鹿などのジビエも登場する。馴染みのある食材も、初めて味わうような驚きのある仕立てにする“シカザワ” のスタイルに、地元はもちろん、県外からわざわざ訪れる人も多い。
恵まれた岩手の食材を中心に使ったフルコースは、どれもシェフが考案したオリジナルメニュー。大根や白菜など身近な食材を独自の調理法や味付けでアレンジすることで、食べる人に新しい発見と喜びを感じて欲しいというシェフの想いが込められている。
岩手産を中心にセレクトされた食材の数々は、シェフが仕入先に直接足を運び、素材の状態を確認している。また、新しい食材探しにも力を入れていて、チコリやサボイキャベツなどの輸入野菜が岩手を代表する食材になるようにと、栽培農家のサポートをしている。
「岩手は、海産物から農産物、畜産物まで、優れた食材が揃っている土地なんです」と話す、鹿澤シェフ。もともとは全メニューが日替わりのアラカルトを提供するトラットリアでスタートしたが、岩手の食材と出会って行く中で、よりクオリティの高いコース料理で勝負したいとの思いから、2015年にリストランテへとリニューアルした。多彩な岩手食材で驚きのある料理を楽しめるようにと、9皿という充実した構成のフルコースを提供している。席数を6席ほどへ減らし、ゲストの好みや要望に合わせたサービスをしつつ、コース料理に合わせたワインペアリングなども用意している。
一方で鹿澤シェフは、岩手の食材の素晴らしさを全国へ向けて発信する活動にも力を入れている。県外で開催される食イベントに定期的に参加しているほか、店舗でもワイン会などを開催。さらに2016年の台風10号で岩手県内も大きく被災したことをきっかけに「いわて 食でつながろうプロジェクト」を同業者の4名で発足した。イベントでは、久慈市の短角牛や土着品種である岩泉町の安家地大根など、馴染みある地元食材で驚きのある料理を作ることで、全国的に岩手の食材を発信するほか、「岩手の食が旅の目的地になる」ことを目指している。「被災地の食材と食文化に興味を持ち、足を運んでくれれば嬉しい」と、鹿澤シェフの岩手への思いは尽きない。